
毒親?親ガチャ?
「毒親」や「親ガチャ失敗」という言葉を聞くことがあります。親のせいで人生において苦戦するという考えですね。
私の場合は幼いころ母に一家心中に誘われたことがショックで、それが私の半生に暗い影を落としました。
世の中には色々な人がいて、色々な親がいます。そのこと自体は当然でもあり、また多様性という観点からは好ましいことだと思います。
でも自分の親が「△△」とか「✕✕」だと、やはり身に堪えますし、弱音も吐きたくなりますよね。
自己肯定感を語るうえで、「親」はとても重要なテーマです。でも、そのテーマをより深く掘り下げると、それは「親に対する自分の思い」であることがわかります。それを書籍「自己肯定感 A to Z」では「愛情の異変」(第2部第17章の一部です)として解説しています。
この記事ではその部分をマルっとお出ししています。ちなみに、エピソードとして登場するるいさんは、私ともう一人別の方の実例を足して2で割った架空の人物です。
(私の両親は健在です)。
引用始め。
愛情の異変
るいさんのエピソード Part I
るいさんは、ご両親に対して強い不満を持っていました。「とても厳しく育てられ、褒められたことなんて一度もない」「自己肯定感が低くて、何事もうまくいかないのは両親のせいだ」と憤っていたのです。
そこで、るいさんにはゆっくり時間をかけて、幼いころから今までの人生を振り返り、思い出をたくさん語ってもらいました。
このプロセスは時間がかかりましたが、るいさんは少しずつ、ご両親がるいさんにたくさんの愛を注いでいてくれたことに気づき始めました。
次に、ご両親のことやその生い立ちまで、できる範囲で語ってもらいました。すると、ある時からるいさんのご両親に対する不満は消えていき、逆にご両親に対する感謝の気持ちが溢れてきました。
るいさんは、その気持ちを手紙にして、天国にいるご両親に届けたそうです。 自己肯定感を語る上で、最もデリケートで最も大切なのが、私たちの親との関係性と、それに対する思いです。
愛情が注がれていない証拠探し
親との関係性に影を落としやすいのが、私たちが成長する過程で生まれる「愛情の異変」です。
幼い私たちにとって「親は世界」でした。もし親から見捨てられるようなことがあれば「生きていけない」のですから、親は大切な存在でした。
そんなとき感受性が高くなり「愛情が注がれていない証拠」探しが始まります。
何気ない素振りや言葉、ほんの些細なできごとから「もしかしたら私は親に愛されていないのではないか」と感じ、さらに目を凝らして証拠を探してしまうのです。
どんなに親に愛されていても、疑いの目で見れば「愛されていない証拠」は日常生活の中に見つかります。
もちろん、親側にも変化があります。親は子どもが成長し独り立ちすることを望みます。子ども側の感受性が高くなり親の愛情を疑う時期と、親側が子どもに独り立ちを望む時期が重なると、ますます子どもには親の「愛情の異変」と映るのです。
この「愛情の異変」メカニズムを理解することは、親との関係性を見直す上でとても役に立ちます。
親により、その個性も生き方も様々です。愛情表現が苦手な親もいますし、他の人と比べ愛情の注ぎ方が違う親もいることでしょう。しかし、たとえ完璧な親がいても、子には「愛情の異変」が起こるのです。
まず、自分が感じた「愛情の異変」は、自分の不安が生み出した目の錯覚かもしれないと考えて、親との関係性を見直してみましょう。
すると、自分が「愛情の異変」だと感じていたことの裏には、愛情の証しがあったことに気づけるかもしれません。 自己肯定観のご相談で「親が愛してくれなかった」と嘆いていた人が、「親が本当は愛してくれていた!」と変わることはよくあります。
「愛してくれない親の問題」だと思っていたのは、自分が「愛されていないと感じた自分の問題」だと気づくのです。
るいさんのエピソード Part II
冒頭でご紹介した、るいさんのエピソードをもう少し詳しくお伝えしましょう。 るいさんは、子供の頃からとても厳しく育てられました。
特に、母親が厳格で、るいさんは自分がどんなに頑張っても母親を満足させることができないと感じていました。
そのため、るいさんは「私は母に愛されていない」と信じて育ちました。
るいさんには、時間をかけて自分の半生を思い出し、そこに自分の思い込みや解釈が多く紛れ込んでいることに気づく機会を設けました。
また、母親と父親がしてくれたことをたくさん挙げてもらいました。その過程の中で、るいさんは母親が自分に向けていた言動が、必ずしも「愛していないから」ではなかったことに気づきました。
さらにるいさんは「母親は子どものころに両親を亡くし、親戚の家で育てられて、とても辛い経験をした」ことを思いだしました。
そしてるいさんは、母親はるいさんのことを愛していたからこそ、るいさんがいつ世間に出ても大丈夫なように、厳しく教えてくれていたのだということに気づいたのです。
るいさんのご両親は他界していますから、直接会って話すことはできません。そこで、るいさんは自分の今の気持ちを手紙にして、それを自分あてに投函することにしました。
このエピソードは、私たちが親に対し強い不満がある場合でも、そして親が他界してしまった後でも、親との関係を修復できることを示しています。
引用終わり。
「自己肯定感 A to Z」第17章「愛情の異変」より

親との関係性は今の自分の課題
親との関係性は自己肯定感だけでなく、私たちの人生そのものに大きな影響を与えます。
そしてそれは過ぎ去った、どうにもならない過去の問題でなく、「今の自分がどうするか、どう感じるか」です。
「自己肯定感 A to Z 」では、自分の親への思い見直して自分の人生の糧とする方法を、他にも沢山提案していますので、よろしければぜひ参考にしてください。